第79回 災害時にも命をつなぐ口腔ケア

みかりば・小幡歯科医院をご愛顧のみなさま、本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。
 2024年は元日から大変痛ましい災害からのスタートとなってしまいました。
能登半島を中心に北陸地方を襲った震災は、現在も余震が続き、避難所で不安にすごされている方もおおくいらっしゃるかと存じます。
1日も早い復興をスタッフ一同心からお祈り申し上げます。
 地震列島である日本においては、いつ誰に起こっても不思議ではありません、
そこで災害時の口腔ケアについて、今回お話ししたいと思います。

口腔ケアは命のケア

災害時、さまざまな物資が不足します。中でも水は食事や医療など特に重要な物資といえます。
少ない水で生活しなければならない場合、体に必要な食事や飲み水、ケガの治療などの医療行為が優先され、どうしても衛生管理が後回しになることも多いでしょう。
しかし口腔ケアがおろそかになると健康面のリスクが高くなることも理解が必要です。
体の中の水が不足すると口が乾き、水分の少なくなった口腔内では細菌が繁殖し、それが食事や唾液などと一緒に体内に入ると、インフルエンザやコロナなどの感染症に罹患しやすくなり、そのほか細菌が気管に入ると、誤嚥性肺炎を引き起こします。
過去の災害において、震災後の関連死で亡くなった方の約1/4が肺炎で、そのほとんどが誤嚥性肺炎だったというデータもあります。
特に高齢者の方々は、唾液の少ないお口で飲み込む力も弱く、入れ歯のお掃除もおろそかになるなど、誤嚥性肺炎のリスクが高くなります。
災害時においても口腔ケアは、お口の不快感を減らすだけではなく、命をつなぐ大切なケアでもあります。

災害時の口腔ケア

では具体的にどうやって少ない水で口腔ケアを行うのか?
歯ブラシが無い方は30ccほどの水かお茶で、食後や寝る前にブクブクうがいを心がけましょう。ペットボトルのキャップ1杯分くらいの少ない水でも数回うがいをするだけでも効果があります。
歯ブラシがある方は少量の水に歯ブラシを浸し、濡れた歯ブラシでブラッシングをし、歯ブラシが汚れたら、ティッシュなどで汚れをふき取り、数回ブラッシングを繰り返してください。
水もお茶も無い場合は、ウェットティッシュや濡れたハンカチなどで、お口の汚れを拭うようにお掃除することをお勧めします。
ぜひ災害時でも口腔ケアを心がけてください。