第74回 口腔フレイルにご注意を

 みなさんは「フレイル」という言葉をご存じですか。
これは加齢や疾患によって、筋力や認知能力、また人や社会とのつながりが弱まり、心身ともに生活への活力が低下してしまうことで要介護となってしまう一歩手前の状態を言います。
 病気とはならないまでも、外出が億劫になったり、体を動かす事が少なくなると、身体も気持ちも活力が弱くなる感覚は、老若男女だれでも感じると思います。
 実は筋力などの身体機能の低下より先に、人や社会との交流が減り、お口の機能が低下するところからフレイルが始まるとも言われ、これを口腔フレイル(オーラルフレイル)と言い、注意が呼びかけられています。

食事だけじゃないお口の重要な機能

 超高齢化時代にあって、さらにコロナ過になってから外出の機会も減り、人とのコミュニケーションが少なくなっていませんか?
 私たちは体が必要とする栄養分のほとんどを口から取り入れています。それだけでなく会話や顔の表情など、人とのコミュニケーションに口は非常に重要な役割をしています。
噛んだり、飲み込んだり、話したりするための口腔機能が衰えることを口腔フレイルと言い、早期の重要な老化のサインとされています。噛む力や飲み込む力など、舌の動きが低下し、滑舌が悪くなることで人や社会との関わりが少なくなることでフレイルへ進行してしまうことから、お口の機能低下は身体全体のフレイルの前兆と言われています。
口腔フレイルの時点でご自身の身体機能の低下に気づき、対策をすることがフレイル予防には重要です。
お口の機能回復はフレイル予防だけではなく、誤嚥性肺炎や滑舌低下の対策にもなるので、ぜひ生活に取り入れてみてください。

お口の体操でフレイル予防

 お口の周りにはたくさんの筋肉があります。
食事の時に使う筋肉、会話に使う筋肉、表情を作る筋肉、これらを鍛えることによってフレイル予防になります。
 唇や舌の動きを意識しながら「パ、タ、カ、ラ」と発声するパタカラ体操や、「うー」と唇をすぼめたり、「いー」と口を横に広げる体操など、いろいろありますが、食事の際に、30回以上噛むことや、早口言葉を繰り返すなど、普段の生活でできる体操でも有効です。
 詳しくは日本歯科医師会のホームページに体操内容がありますので、ぜひ挑戦してみてください。