第71回 スポーツドリンクと虫歯

 先月のコラムにて熱中症とかくれ脱水の事について語りましたが、熱中症予防だけでなく、特に暑い日や、運動などで汗をかいた後にスポーツドリンクを飲むことがあると思います。
水分補給でよく用いられるスポーツドリンクですが、歯科医の視点からみると飲み方には注意が必要です。
日頃から歯みがきなど口腔ケアの意識が高くなってきて、虫歯になりにくいキシリトールなどの甘味料が増えてきたこともあり、昔より虫歯の患者さまが減ってきていますが、その中でも特に虫歯になりにくい前歯が虫歯になるケースが目立ってきています。
この原因のひとつがスポーツドリンクの飲み方にあると言われています。

からだの水分補給に最適なスポーツドリンクの欠点

 スポーツドリンクはイオン飲料とも言われ、水より体に吸収しやすく疲労回復の効果もあるとされています。
水分、糖分、塩分も同時に摂取できるスポーツドリンクは、熱中症対策には最適にみえますが、飲んだ後のお口の中は、非常に虫歯になりやすい環境になってしまうのです。
 普段お口のなかはph7とほぼ中性。食事の後などph5~4と酸性に傾きますが、食後の歯みがきなどで、また中性に戻るので虫歯になりにくくなります。しかしスポーツドリンクのph値は約3.5~4、お口の中のph値が5.4を超えると虫歯になりやすくなる言われる値を大きく超え、しかも糖分はスティックシュガー約10本分と非常に多くの砂糖が使われています。また飲み物という概念から、ついついその後の歯みがきが疎かになってしまうことも虫歯になりやすい原因とも言えるでしょう。
Ph3.5と酸性のものが常に歯に残っている状態は、歯の表面を硬く守っているエナメル質には大敵です。

スポーツドリンクやジュースなど飲んだ後は

 このようにスポーツドリンクを飲んだあとも歯みがきなどで、お口の中を中性に戻すことが虫歯予防には最適なのですが、運動中やお出かけ先では、それも難しい時があると思います。
その時は、スポーツドリンクやジュースなど、酸性の強いものを飲んだ後、お水やお茶などで、かるくお口をゆすぐだけでも大まかに歯に残った砂糖や、酸性のものが流され虫歯になりにくくなります。
 また虫歯だけでなく、酸そのものが歯を溶かしてしまう酸蝕症も注意が必要です。
中野院長の予防歯科教室「第62回虫歯のメカニズム」と、「第40回酸蝕症を酸性度」も併せて読んで頂き、暑い今年の夏を虫歯予防と共に乗り切りましょう。