第52回 定期検診で早期発見「口腔ガン」

 先日、定期的に検診にいらっしゃる患者さまが「舌の下側に出来物ができて、触ると痛い」とおっしゃるので見てみると、よくみる出来物と違い、痛みや硬さ、出来てからの期間(約2週間)などの違和感から、提携の専門病院に行ってもらい検査をしたところ、やはり口腔ガンだったということがありました。
 通常口腔がんの場合、初期は自覚症状がほとんどありません。
痛みがある、食べ物や飲み物がしみる、違和感がある、首のリンパ節が腫れる、なかなか口内炎が治らない、といった症状が出てきたときは、すでにがんが進行している可能性があります。
 この患者さまは定期的な検診されており発見も早期だったので、ガンも非常に小さく、ステージ1。
口腔ガンの早期発見には定期検診が非常に大切なのです。

口腔ガンの後遺症

 口腔ガンの5年生存率は60%~80%と言われています。
早期に発見できたガンであれば簡単な治療で治せますし、後遺症もほとんど残りません。
ですが進行してしまった口腔ガンは、手術によって舌や顎の骨を切除することによって顔の形が変わってしまったり、会話や食事が困難になってしまったりして、日常生活に支障をきたすことになりかねません。

口腔ガンのリスクファクター

 お口は体の中のすべての臓器の入り口です。
だからこそ口腔ガンによって日常生活が困難になることで、体全体に及ぼす悪影響も大きくなります。
また口腔ケアを怠ることで口腔ガンの発生率も上がってしまいます。

 他のガン同様、喫煙がガンの最大のリスクファクターです。喫煙者の口腔ガン罹患率は非喫煙者に比べて約7倍、死亡率は約4倍も高くなるという報告もあります。
次に飲酒。度を越えた飲酒はガンの発見も遅くなります。節度を守った飲酒量に気をつけてください。

他のガンに比べて、お口のガンだからこそ普段から気をつけられることがあります。それが口腔ケアです。
日頃からの歯みがきやうがいなど、お口の中を清潔に保つことを習慣化することで、口腔ガンのリスクを抑えることができます。また合わない入れ歯や被せ物はお口を傷つけ口腔ガンが発生しやすくなります。
 ぜひ定期的な検診と口腔ケアで口腔ガンになりづらいお口つくりと、できてしまった口腔ガンの早期発見を心がけてください。
 当院では口腔外科専門の提携医院がございます。お気軽にご相談ください。