第56回 マスクを知りましょう!

 風邪や花粉症の際など、マスクの習慣がある日本においては、マスク装着の違和感はあまりなく、世界的に見ても日本が甚大な国家的クラスターが発生していない理由のひとつは、マスク着用の文化が関わっていると感じます。
なかでも世界中で新型コロナウィルス感染に一番危険な職業と心配された歯科ですが、日本において、これまで歯科診療を原因とする新型コロナウィルスによる院内感染の報告がないことも、一つの要因としてマスク装着をはじめとする院内感染対策をしっかり行っているからで、一日の多くの時間をマスクとともに過ごす我々歯科医院スタッフにとって、すでにマスクはユニフォームの一部となっているからなのです。

マスクの種類

 新型コロナウイルス感染者の咳、くしゃみなど口腔から放出される飛沫には、大量のウイルスを含むため、周囲にいる人にとってマスクは感染予防として重要なアイテムと考えます。
 そこで、マスクについての正しい情報を確認し、正しい知識を知って頂けるよう、少し説明させて頂きます。
 マスクの規格については、国際統一はなされておらず、また各国での規格試験の方法も異なるため比較することが困難です。製品購入においては、特に、その表示の意味を知ることも重要だと思います。

▶ 素材と機能

 素材には、ガーゼと不織布があります。またコロナ禍において、衣料メーカー、スポーツメーカーから速乾性の肌着やスポーツ着素材のものも多く販売されるようになりました。
 ただし、機能表示の無いものは効果の判断がつかないため、密を避けるなどの配慮も併せて考える必要があります。その他マスクの機能表示の無いマウスカバーも登場しています

▶ 形状

▶ 密着性

 プリーツ型マスクでは、鼻に当たる金属部分を鼻の形に合わせて装着し、マスク越しに鼻を押さえながらプリーツ部を引き伸ばして顎下までしっかり覆い、頬部とマスクが触れる部分を密着するように手で押さえることで密着度はかなり高くなります。つまり隙間を作らないことを意識しながら装着するということです。

▶ 性能

 マスクが顔に密着している前提で病原体の伝播を防ぐためには、病原体がマスク表面を通過しないことが機能として求められます。
 粒子の大きさはスギ花粉が約30㎛、動物の体細胞が約10㎛、会話やくしゃみでの飛沫が5㎛以上、飛沫核が5㎛未満、PM2.5が2.5㎛、細菌約1㎛、ウイルス0.02~0.3㎛です。

機能や性能を正しく理解して、用途に合ったマスクを選びましょう!