第61回 インプラントの疑問

 前回のコラムでもお話したように、歯を失ってしまった際に歯科医師が一番にインプラントをおすすめする理由はご理解いただけたかと思います。
今回は私たち歯科医師がインプラントのお話をした時に患者様から受ける質問についてお話しします。
 インプラント治療は高価な治療で手術も必要なため、不安に感じる患者様も多くいらっしゃいます。 その不安を少しでも取り除いて安心して治療を受けていただくこともインプラント治療の一環なのです。

インプラント治療をしていてもCT・MRI検査は受けられます

 インプラントは歯科治療の中でも良く耳にする治療法のひとつだと思いますが、噂話や間違った情報が多く流れている治療法でもあります。なかでも一番に質問されるのは「病院でのレントゲン撮影やCT ・ MRIなどの
検査が受けられなくなるでは?」ということです。
 いまや一般的となったCTやMRI検査で早期にガンが見つかるケースもよくあるため、その検査が受けされなくなるかもということは確かに不安に感じるでしょう。
結論からいうとインプラント治療をしていてもレントゲン撮影はもちろん、CTやMRIも受けられます。
 レントゲン撮影はインプラント治療の後でも歯科医院で撮影しますし、CTもレントゲンと同じくX線も用いていますので、問題なく撮影することが出来ます。ではMRIは?

インプラントとMRI検査

 MRIとは磁気を利用した画像撮影法です。
磁気共鳴画像診断と呼ばれ、体に磁気を当ててその共鳴反応を画像に表すものですので、磁気に反応しないチタン合金製の 歯科用インプラントはMRI撮影をしても影響されることはありません。
 ただし金属ですので、アクセサリーなどと同じようにインプラント付近の画像にアーチファクトと呼ばれる影のような画像が写る場合がありますが、事前にインプラント治療をしている点を担当医に話しておけば問題なく撮影することが出来ます。
 歯科用インプラントは問題ありませんが、心臓に埋め込んだペースメーカーや人工関節などで磁力に影響を受ける金属を使っている場合は注意が必要です。
 
体内に埋め込んだ治療器具も全てインプラントと呼ばれるため、歯科用インプラントと混同してしまい誤解が生じたようです。
 誤解から生じた不安や疑問をそのままにして患者様のQOLを損なうような治療は選んでいただきたくないので、私たち 歯科医師や病院の担当医に相談しながら治療を進めていくことが大切なのです。