第62回 虫歯のメカニズム

 過去に何度か歯を失ってしまった場合の補綴方法についてお話してきました。
そもそも歯を失ってしまう原因は何なのでしょうか?
その原因のほとんどが、虫歯と歯周病です。
皆さん毎日の歯みがきで虫歯予防していると思いますが、それでもできてしまう虫歯について、今回はお話しようと思います。
虫歯を予防するには、その難敵を理解することが一番です。
どのようにして虫歯になってしまうのか?そのメカニズムをご説明します。

虫歯の初期症状

 虫歯というと、歯が黒く変色して穴が開いて痛い・・・というイメージがあるかと思いますが、これは虫歯の末期症状で、実は虫歯の初期はほとんど自覚症状はありません。このような状態までなってしまうと歯の根っこまで虫歯が進行してしまっているので、神経を取らなければならなかったり、場合によっては歯を抜かなければならなくなったりします。
そんなことにならないために予防が重要ではありますが、それでもできてしまった虫歯は、他の病気と同じで早期発見、早期治療で歯を守ることができます。
 虫歯ができると、まず脱灰といって歯のカルシウムが失われて虫歯の部分が不透明な白色に変色します。 どんな病気も初期段階での発見・治療が一番の治療法なのです。

虫歯の好物と苦手

 虫歯は、もともとお口の中にいるミュータンス菌などのいわゆる虫歯菌と言われる原因菌が出す酸によって、歯のエナメル質が溶かされ、ついには穴が開いてしまう病気です。
 虫歯菌が集まるとバイオフィルムという膜(歯垢)を作り、その中で増殖します。虫歯菌は糖質が大好きで、増殖した虫歯菌はお口の中に残った食べかすなどから糖質を取り込み酸を出します。その酸が歯を溶かして虫歯を作ったり、歯を支えている骨を溶かすことによって歯周病になったりします。
 虫歯や歯周病の予防は、この歯垢を毎日取り除くことが大切になるのです。
 
虫歯菌にも苦手なものがあります。それがフッ素です。フッ素は、糖質を取り込んだ虫歯菌の酸を抑える役目があります。歯にフッ素を塗布したり、フッ素入りの歯磨剤を使って歯みがきをするなどして虫歯を予防できますので、歯みがきに取り入れてみてはいかがでしょうか。